インタビュー

第9回は漫画家のコザキユースケ先生です。

コザキユースケ先生

副代表の葉月京先生を通してビースマイルプロジェクトの活動に興味をもたれたコザキ先生は、報道の現場に足を運び、そこで起こっている現状を自分の目で確かめたいと常々思っていたそうです。

さっそく1月に行われた施設訪問と野球イベントに参加してくださいました。今回の訪問を通して印象に残ったことなどについてお話を伺います。

Q.コザキ先生は今どのようなお仕事をされていますか?

マンガの月刊連載を主体に、イラスト、小説の表紙、アニメのキャラクターデザイン、ゲームのキャラクター作成などをしています。
現在連載中の作品は、月刊コミックバーズの『烏丸響子の事件簿』(原作:広井王子)です。

Q.漫画家になろうと思ったきっかけや、その道を選ぶと決断なさった瞬間は、どのようなものだったのでしょう?

藤子・F・不二雄先生の『ドラえもん・のび太の宇宙漂流記』を読み、小学三年の時にビビッ!ときたんです。
それで、自分も冒険モノを書きたい!と思い、もうその時点で漫画家を目指していましたね。
特に決断というものはなかったです。小さいころは普通では選ばないような職業でも平気で夢見ますよね。
それが、そのままきたような感じなんです。

Q.コザキ先生が漫画家になるまでの経緯について教えていただけますでしょうか?

本格的に自分の作品を投稿したのは専門学校のときです。
そのときの作品で、ヤングマガジン月間賞の奨励賞をいただきまして、担当編集さんと話し合った結果、専門学校を中退して漫画家になるための生活を始めることにしたんです。
絵を鍛えるためにアシスタントをしながら、読み切りを描いたりしていましたね。
その後、アシスタントの仕事を続けながらちばてつや賞の準優秀新人賞をいただき、月刊ヤングマガジンでデビューしたんです。
マンガを書きながらHPを開いたりして、PCの使い方を学び、HPを通してイラスト・ゲームの仕事などを請けるようになりました。
そして、そこから、いろいろなものに繋がっていった感じです。そこまでいくのに二年位かかりましたね。

Q.マンガの仕事とゲームの仕事、どういった違いがありますか?

絵を描くっていうところ以外は根本から違いますね。
マンガは総合能力が必要ですが、ゲームは画面上のキャラクターが、どう見栄えするかをかなり意識して作り込まないといけなかったりと、作画をするうえで気を遣わなければならない点がマンガとはずいぶん違うんですね。
また、やり直しもかなり多いので、そういう点ではゲームの仕事のほうがキツイかもしれません。

Q.キャラクターデザインのような仕事をする場合は、やはりPCを持っていないと仕事が難しいですか?

持っていたほうが有利ですけど、別になくてもできると思います。
もちろんPCがあれば、データをメールでやりとりできますから手早くていいですよね。
でも、若いうちは、とにかく紙に鉛筆でイッパイ絵を描いていたほうがいいと思います。
そっちのほうが大切じゃないかなと。

Q.コザキ先生はペンでノートの端とかにイラスト書きとかされてましたか?

ええ、落書きするタイプの人間でしたね。
ゲームやオリジナルのキャラクターとか、気がつけばいつも。
しょうもないことでも、ひたすら落書きをしてました(笑)

Q.今日は子どもたちと会ってどんな感じでしたか?

みんな心に深い傷を負っているとは思うんです。
けれど、じつは子どもって大人より強いところがあるんだなあって思いました。
喜びの表情とかを素直に出せる、それがある意味彼らの強みというか。
そういうところを大事にしてあげたらいいなと思いましたね。

Q.今回の訪問で、印象に残ったエピソードなどがありましたらお伺いしたいのですが。

どれもこれも印象に残っているんですけれど、最初に出迎えてくれたときの笑顔が一番印象に残りましたね。
本先生や皆さんがずっと続けてやってこられた成果が、この笑顔につながっているんだろうなって。
もうちょっと、引っ込み思案だと思ってたんですけど、そうでもないんですね。
あと、子ども達と一緒に野球をやってみて、思った以上に身体が動かなくなっていることに気づかされました。
人間の身体って、使わないでいるとこんなに劣化するんだってビックリしましたね(苦笑

Q.野球をしている時の子ども達を見て、コザキさんはどのように感じられましたか?印象はどうでしたか?

目的のある行動をしてる時っていうのは、普通の子ども達と変わらないですね。
僕自身、彼らの事を特別視していなくて、その辺の子供と同じだと思って接していましたから、特に変わった印象っていうのはなかったです。

Q.今回のイベント参加のきっかけは何だったんでしょうか?

葉月先生と一緒にフランスのマンガイベントにゲストで呼ばれて、サイン会とインタビューをやったことがあるんです。
そこで葉月先生から、こういった活動をされてることを聞きました。
僕は常々、世の中自分の知らないことが多すぎるって思っていたので、どんなことでも、とにかく学びたいって気持ちがありました。
自分で現地へ足を運び、そこで起こっている現状を見て、感じたり考えたりしたいと。
あと子供がすごく好きなんで、一度は行ってみたいと思ったんです。

Q.世の中の子どもに関するニュースとして挙げられない、情緒障害、虐待などに関しては、どう思われますか?

たぶん世の中って、本当に想像以上に悲しいこととかが、沢山起こってると思うんです。
情緒障害を持っている子ども達っていうのも、その悲しいことの一つだと思うんです。
でも、テレビのようなマスメディアで、世の中で起こっている悲しいことを全部取り上げようとしたら、観ていて辛すぎる媒体になってしまう。
だから、そこは残念ながら他の事が優先されてまだ表に出てないのかなと思いますけど。
でも、社会の未来を担っているのは子ども達。
これからはもっと、彼らを取り巻く環境を第一に考えていくような社会にならないといけないと思うんですよね。

Q.マンガを描いたりゲームを作る仕事を目指している子ども達へのメッセージをお願いします。

現実的なことを言えば、どんな目標でも、好きだったら続けられるし、途中で諦めちゃったらそれまでなんです。
だから、とにかくいろいろなものに触れて自分の視野を広げて欲しいっていうのはありますね。
映画でもマンガでも野球でも何でもいいので、たくさんのものに触れて視野を広げることで、自分の未来も広がると思うんです。
それが、一番大事なことだと思いますね。

コザキ先生漫画

■取材後記■

今回お話を聞いて、やはり『何事も諦めず!自分の置かれた環境を卑下せずに、好きな事があれば続けること!』、『それだけに固執せず、視野を広げる事!』という言葉に感銘しました。
皆さんも、諦めず!やわらか頭で最後まで目標目掛けて進んでみては!!光が射すかも!

次回は、2007年に双葉社漫画アクション『鈴木先生』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞された武富健治先生の予定です。どうぞお楽しみに。

取材:柏葉比呂樹
記事:岸上受里

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